Q18.買ったエメラルドをじっくり見てみると、キズの多いのことに気がつきました。 返品しようと思っているのですが...
A.最初に知っておいてほしいこと。 それは、エメラルドはもともとキズの非常に多い宝石だ、ということです。 「キズのないエメラルドなんてない、欠点のない人間がいないようにね」と云われるほどです。

ここで云うキズとは、石の内部のキズのことです。 もし石の表面にキズがあるなら、これほまたべつ問題です。 カットする際に失敗してついたキズかもしれないし、エメラルドより硬度の高いダイヤモンドやルビー、サファイアと擦れ合ったときについたキズかもしれません。 また、買った後には、先に挙けたような石とは別個に保管するよう注意してください。

さて、その内部のキズなのですが、これは、宝石が成長していく際に取り込む微量の不純物が原因になっています。 エメラルドはベリルという鉱物です。 ベリルは不純物を含まない場合、無色で、キズがすくない。 ところが結晶時に、ある不純物を取り込んでしまうと、成長過程に無理が生じて、亀裂ができてしまう場合が極めて多いのです。 キズとはひとつにはこの亀裂のことです。 ところが、この亀裂の原因となる不純物が、エメラルドのグリーンの色の原因にもなっています。 もうひとつ、内包物(インクルージョン)の多さも作用しています。 内包物とは、宝石中に残ってしまった地球上の液体です。 固体として残る場合もあります。 これら内包物が、エメラルドの場合、とりわけ多いのです。

こうしてみると、エメラルドにキズがあるのは、ある程度しかたのないことだと云えるでしょう。 それらはすべて自然の成長過程のなかで生じたことがらなのです。 積極的な考えかたに転換するなら、このキズこそが天然石の証拠だとさえ云えるのです。

しかし、キズのすくない天然エメラルドほど価値があるのは事実です。 大きすぎる亀裂は、色だけでなく、割れやすさにも関係します。 多すぎる内包物は透明さを損ないます。 透明度の悪いエメラルドの価値は劣るものです。

そこで、エメラルドを選ぶ際には、キズの見極めが大切になります。 キズの有無ではなく、キズの多寡とその状態です。

まず目で見て、それからルーぺで内部を覗いてみましょう。 ペンライトで石の底部を照らして上から見ると、より見やすいでしょう(Q8参照)

キズは必ず存在します。 そのことを念頭に置いて、目立つ大きなキズのできるだけ少ないものを選ぶようにするといいと思います。

なお、現在流通している天然エメラルドのほとんどに、無色のオイル処理が施されています。 亀裂の部分に無色のオイルをしみこませて、キズを目立たなくし、色を良くするという処理です。 これはエンハンスメント(改良)と考えられ、容認されています。(Q23参照)





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