Q2.宝石はどのくらい硬いといいのですか?
A.宝石の条件は、美しさ、耐久性、稀少性、この三つです。

ところで、宝石の耐久性は、一般に硬いという一言で片付けられています。 けれど実際には、光・熱や薬品に対する抵抗力も大事な要素です。 また、一般に云う硬さにしても、そこには割れや欠けに対する抵抗力とひっかきキズに対する抵抗力、この二種類があるのです。

たとえば、ダイヤモンドは一般に、硬いと考えられています。 これはある意味でその通りです。 ダイヤモンドをひっかいて、キズをつけることができる他の鉱物は、この世に存在しません。 そこでつい、ダイヤモンドは割れないと思ってしまいがちです。 しかし事実はそうでありません。 ダイヤモンドは割れてしまいます。 ある一定の方向に衝撃が加わると、スパッと簡単に割れてしまうのです。
ですから、硬いと一言で云っても、そこにはひっかきキズに対する抵抗力と、割れや欠けに対する抵抗力の二つかあって、それぞれはちがうものだと知っておくことが必要です。

まず、ひっかきキズに対する抵抗力を測るものさしとして便利なのが、モースの硬度計、と呼ばれるものです。 これは器具ではありません。 ただの表です。 表を見てください。
これはモースという鉱物学者の考案したものです。 かれは数多くの実験のあと、比較的よく知られ、そして簡単に手に入る鉱物10種を選び出しました。 そして、比較用の基準として使うために、ひっかき硬度の順に並べました。

硬度10のダイヤモンドがひっかきキズに対していちばん強い抵抗力をもっていることを表しています。 つぎはサファイア(ルビーも含む)です。 この表が示すのは、サファイアをひっかいて、キズのつけることができるのはダイヤモンドだけである、ということです。 ダイヤモンドをひっかいてキズをつけることのできる他の鉱物はなにもありません。

ところがダイヤモンドは、先に云ったように、ある一定の方向にスパッと割れやすい、というもろい特性(これを専門用語でへきかい性と云います)を持っています。 衝撃に弱い方向があるのです。

これに対して、ひすいなどは、硬度は7なのに、ダイヤモンドよりは割れにくい。 これは石の内部で結晶が繊維状に集まっていることが原因です。 硬度に対して、このような、割れや欠けに対する抵抗力を、専門用語で、じん性、と云います。 これもまた、硬度と同じく、10段階で表されます。

では、宝石はどのくらい硬いといいのでしょうか。 硬度においては、石英の硬度7がひとつの目安になります。 というのも、空気中のほこりには、石英の微粉が多く含まれているからです。 硬度が7以上であることは、石英によってキズづけられない、つまり、日常の生活のなかでふつうに扱うなら、石の外面にキズかつくことはない、石が摩耗することはないということです。

硬度が7以下のものはキズがつきやすいのだと理解して、取り扱う必要があります。 じん性においては、一般に、5以上であることが目安になっています。

*モース硬度の値は絶対的なものではありません。 たとえば硬度10と9の間の開きは、硬度9と1との間にある開きよりも大きいのです。 つまり、ダイヤモンドのひっかきに対する抵抗力はすば抜けて高いことになります。
**ダイヤモンドのひっかきに対する抵抗力のつよさは、結晶内の分子どうしの結ぴつきがつよいことに関係しています。 しかし分子の結びつきが弱い方向もあります。 この方向に強い衝撃が加わると、ダイヤモンドは割れやすくなります。
***硬度7以下の宝石は日常の取扱いが大事。リングにせよ、ネックレスにせよ、毎日つけ続けるとそのうち石が少しずつ摩耗していきます。 ほこりをはらう程度のケア−で充分ですから、使用後はなるべくケアーを行ってください。

モースの硬度計
10 ダイヤモンド
9 サファイア ルビー
8 トパーズ スピネル
7 石英
6 正長石
5 燐灰石
4 螢石
3 方解石
2 石膏・岩塩
1 滑石
主な宝石のじん性表
ルビー・サファイア
(コランダム)
8
ひすい 8
ダイヤモンド 7.5
ペリドット 6
トパーズ 5
エメラルド 5〜5.5





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