Q22.海外旅行のついでに、宝石を買ってこようと思っています。 なにか注意することはありますか?
A.宝石展示会などで、無料鑑別コーナーのようなものを設けて、女性客の相談を受けることがあります。 そこで、海外旅行で買ったものだとか、海外旅行のお土産にもらったものだとか云う、そういうもののなかで、ああ、これならお買い得だ、ほんとにいい買い物をされましたね、というケースは、残念ながら、たいへん稀です。

逆に、台湾ひすいという売り名で、ひすいに似た類似石を高くで買わされていたり、天然石だと思って買ったところ、じっさいは非良心的な人工処理が施されていたものだったり……というふうに、言葉はわるいですが、騙された、というケースがほとんどなのです。

いまたまたま例に挙けた台湾ひすいとは、ほんとうのひすいではなく、ネフライトという石なのです。 ネフライトは、ひすいに比べてたいへん安価な石で、宝飾品としてよりは、置き物や彫刻品などとして多く利用されるものです。 それがときどき台湾ひすいという誤った名前で売られたりするのです。 こういう誤称のことをフォルス・ネームと云って、とりわけひすいに関連して多く使われています。 インドひすいとはアベンチュリン・クォーツのことですし、アフリカひすいと云えば、それはひすいではなく、グロッシュラー・ガーネットのことです。

海外に行った際に、なにか宝石を買おうと考えている方は、こういう紛らわしい売り名に充分気をつけるようにしてください。 とりあえず、宝石名の上にわざわざ産地のなまえをつけて売られているものは疑ってかかったほうがいいかもしれません(オパールは別です)。

それから、雑な加工の宝飾品も多く見られます。 メインの石やその脇石の石留めのしかたが雑なため、石が取れてしまう心配があります。 もし取れてしまったとして、その石が残っている場合は、石留め料だけで済みますが、それらを紛失した場合には、まずその枠に合う石を見つけるのがたいへんでしょうし、ときに必要以上に高くつきます。 日本国内の小売店で買ったなら、保証期間中は実費のみの請求か、あるいは無料サービスの場合もあるでしょう。 だから、海外で安く買ったつもりが、結局は高くついてしまった、というふうにもなりかねないのです。

それからもうひとつ、紫外線には注意してください。 一部の宝石は、紫外線に反応するのです。 たとえばルビーやダイヤモンドがそうです。 ルビーは紫外線に反応すると赤く輝きます。 ということは、紫外線の強い国、たとえばタイやスリランカだと、色の暗すぎるものが、良質のルビーに見えてしまう可能性もあるということです。 これは実際そうなのであって、プロの宝石商でさえ、苦心するところなのです。

海外旅行の際に、なにか宝石を買おうと計画される方は多いと思います。 海外に来たという解放感からつい金銭感覚も麻痺しがちです。 けれど、以上のような事柄をあらかじめ知っておいてください。

おそらく、損な出費から身を守るためには、よほどの鑑識眼のある方や、信頼できる友人が現地にいて、紹介してもらえる店があるなど、特殊な例を除いては、旅行の記念としての、手頃なジュエリーの購入にとどめたほうが無難なのかもしれません。





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